日本の七夕伝説と物語

日本にはさまざまな行事がありますが

その中でも高い人気を誇っているのが七夕です。

日本の七夕は海外からも人気があります。

七夕といえば、やはりロマンティックな七夕伝説が印象的です。

 

しかしながら、その七夕伝説が実は日本発祥のものではなかった

ということをご存知でしょうか。

もともと日本というのは海外からの文化を取り入れて

日本人に合うようにアレンジしていくのがうまいのです。

 

日本オリジナルの行事かと思っていた七夕も他の国の影響を

受けているのです。

しかも、七夕伝説の物語というのは世界中にあります。

 

それぞれの国で物語が違うというのも、なかなか興味深い点です。

七夕伝説は日本発祥ではなかった?

日本にはさまざまな行事があり、そのひとつが七夕です。

七夕といえば、ロマンティックな七夕伝説が有名ですが

実はこの七夕伝説が日本発祥ではないということを

ご存知でしょうか。

 

七夕という行事自体は確かに日本の行事なのですが

最初からこのような形だったわけではありません。

その由来となるものがあって、現在の七夕になっているのです。

 

中国伝来の七夕伝説と乞巧奠、日本古来の棚機つ女の伝説や

お盆前の清めの風習といったものが七夕の由来になっている

と言われています。

 

つまり、七夕伝説というのはもともと中国から来ているのです。

それが日本の文化と混ざり合って、現在の七夕になっている

というわけです。

七夕伝説は日本ではなく中国がルーツに

先でもお話ししましたが、七夕伝説のルーツとなっているのは

中国です。

中国の七夕伝説は星伝説とも呼ばれているのですが

その内容について簡単にお話ししておきたいと思います。

 

「天の川の西岸には、機織りの上手な織姫が住んでいました。

反対の東岸には働き者の牛使いである彦星が住んでいました。

織姫の父親は天帝だったのですが、その天帝のすすめでふたり

はめでたく結婚することになります。

 

しかしながら、結婚をしてからというものふたりで仲良くする

ばかりで仕事をしなくなってしまいました。

これに怒った天帝は、天の川を挟んでふたりを

離れ離れにしました。

 

ですが、今度はふたりとも悲しむばかりで仕事が

手につかなくなってしまいました。

見かねた天帝は、仕事を頑張るという約束のもと

七夕の夜に限って再会することを許したのです。

 

七夕になると天帝から命を受けたカササギの翼に乗って天の川を

越えて、年に一度だけ七夕の夜に、ふたりは再会するように

なったのです。」

 

これが中国の七夕伝説です。

これは天の川と夏の大三角形を見てみると

その関係性がよくわかります。

 

夏の大三角形といえば、デネブ、アルタイル、ベガですが

白鳥座のデネブがカササギ、鷲座のアルタイルが彦星

琴座のベガが織姫を意味しているのです。

 

この七夕伝説の織姫と彦星の再会を祝い

さらに機織りの上手な織姫にあやかって機織りなどの技芸が

上手になりますようにという願いを込めたお祭りが

中国でおこなわれるようになります。

これが乞巧奠です。

「きっこうでん」と読みます。

 

当然、この乞巧奠も七夕伝説と一緒に日本に伝わっています。

乞巧奠が伝わったのは奈良時代だと言われています。

乞巧奠では貴族は庭に祭壇を設けてお供え物をしたり

梶の葉に和歌を綴ったりしました。

 

さらに、7本の針に五色の糸を通して裁縫が上手くなるように

お祈りしたり、たらいの水に星を映して眺める「星映し」を

おこなったりもしていました。

 

当時、里芋の葉は天帝の水を授かる傘と考えられており

里芋の葉にたまった夜露で墨をすり、それで文字を書くと

願いが叶うと言われていました。

短冊に通ずるものがありますね。

七夕伝説と日本の短冊の関係は?

七夕伝説には直接的に短冊というものが

登場するわけではありません。

しかしながら、日本では七夕といえば七夕飾りで

短冊を吊るすものです。

 

先の中国から伝わった七夕伝説やその伝説から生まれた乞巧奠

というお祭り、乞巧奠が伝わった後の貴族の風習・・・

これらのすべてにおいて基本的には祈りや願いといったものが

テーマになっています。

 

もともと笹竹というのは天の神様の依代とされていたこともあり

願いや祈りを込めた短冊を笹竹に吊るすようになったのです。

先でもお話ししましたが、乞巧奠では手芸をはじめ詩歌や管弦楽

文字などが上手になりますようにという願いを込めて

梶の葉に文字を綴っていました。

 

江戸時代には寺子屋が多くなり、習字をはじめとした

習い事が増えました。

そのため、そういったものが上達しますようにという願いを短冊に

書く人も多くなり、よりそういった行事が広がるように

なったのです。

 

その結果、短冊が定番の七夕飾りとなったわけです。

七夕伝説の物語は世界中にもある!

日本の七夕伝説の物語が中国のものをルーツとしているのは

おわかりいただけたかと思います。

 

中国のものが日本に伝わってきたとなるとこういう物語は

アジア圏にしかないのかなと思いがちなのですが

実は七夕伝説の物語というのは世界中にあるのです。

 

中国以外ではフィンランドやギリシャが有名です。

七夕とフィンランド、ギリシャというのはなかなか

イメージ的にも結びつかない感じがしますが

どちらも星が綺麗に見える場所でもあります。

 

星が綺麗に見える場所では、やはり星にまつわる話というものが

自然と出てくるのかもしれません。

 

しかも、同じ七夕伝説の物語でも内容はそれぞれの国で

まったく異なっています。

ハッピーエンドとなっているものもあれば

バッドエンドになっているものもあります。

 

中国以外ではフィンランドとギリシャが有名ですが

もしかしたらあまり知られていないだけで他の国にも

七夕伝説の物語が伝わっているかもしれません。

七夕伝説の物語はフィンランドでも

七夕伝説の物語というのは、実はフィンランドにもあります。

ここでは、フィンランドの七夕伝説の物語を

ご紹介しておきましょう。

 

「昔々、それはもうとても仲良しな夫婦がいました。

仲良しだった夫婦はそれぞれが命を全うし、星となりました。

しかしながら、残念なことに星になったふたりは

遠くに離れてしまいました。

 

当然、ふたりは「星になってもお互いのそばにいたい」という

想いを抱きます。

 

そのためにできることを考えたとき、それぞれに近くに

散らばっている無数の星屑を集めて、ふたりの星の間に橋を

作ろうと思い立ちました。

 

ふたりは毎日毎日一生懸命に星屑を集めました。

ふたりの願いは千年という長い時間が経った後で叶えられました。

時間はかかったものの、ふたり間には立派な橋ができました。

 

橋ができたことによって、遠くにいても行き来ができるように

なったのです。

そして、その橋こそが七夕の夜に輝いている天の川だと

言われているのです。」

 

いかがでしょうか。

織姫と彦星のときのように働かなくなったといった

マイナスの要素がなく、本当の純愛物語という印象があります。

天の川そのものが橋であるというのは

日本人にはなかなかない発想かもしれません。

七夕伝説の物語はギリシャでも

先ではフィンランドの七夕伝説の物語についてお話ししましたが

今度はギリシャの七夕伝説の物語についてご紹介していきましょう。

 

「あるところに、琴の演奏が上手な青年がいました。

ある日、その青年は妖精の少女と出会います。

ふたりは恋に落ちました。

恋に落ちたふたりはいつまでも幸せな日が続くと思っていました。

 

ですが、妖精の少女が毒蛇に噛まれて死んでしまいます。

ひどく嘆き悲しんだ青年は、天国にいる大王に少女を

生き返らせてもらうように頼みに行くことを決意しました。

 

もちろん、楽な道ではありませんでした。

行く手にはさまざまな困難が待ち受けていました。

しかしながら、青年が持っていた琴の音色が

それを手助けしてくれたため、その困難に打ち勝つことが

できました。

 

ついに、青年は大王に「一度だけ少女を生き返らせてもらう」

という約束を取り付けることができたのです。

 

ただ、そこで大王は

「地上に戻るまでは絶対に後ろを振り返ってはいけない」

と言いました。

 

この約束が守れないのであれば、少女はまた天国へと

舞い戻ってしまうだろうと言うのです。

もちろん、青年は絶対に振り返らないと約束しました。

 

ですが、もう少しで地上に着くというところで

嬉しさのあまり一度だけ振り返ってしまったのです。

すると大王が言っていたように

少女はあっという間に天国へと連れ戻されてしまったのです。

 

青年はまたもや深い悲しみに包まれます。

絶望の中、青年は野山をさまよっていました。

その途中で酒に酔った女たちに出会い

琴を弾けと頼まれました。

 

しかし、青年はそれを断ります。

すると、女たちの頼みを断ってしまったばかりに

青年は殺されてしまいました。

 

それを知った神様が青年を哀れみ、持っていた琴を夜空に放ち

琴座を作ったのです。」

 

ギリシャの七夕伝説の物語はハッピーエンドという感じでは

ありません。

どちらかというとバッドエンドです。

 

フィンランドの物語とも中国の物語ともまったく違い

毛色の物語となっています。

まとめ

七夕伝説は日本発祥ではないということに驚かれた方も

多いでしょう。

しかも、七夕伝説の物語は世界中にあるのです。

それぞれの国で伝わっている物語が違うのは

なかなか面白いものです。

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