中秋節

中国の大事な祝日である中秋節をご存知でしょうか?

今や世界的にその名を知られた春節に次いで中国の

盛大な祝日として有名です。

今回は、中秋節のあれこれに関して情報をまとめてみました。


月餅を食べる習慣があるのは本当なのか?

中国だけでなく周辺諸国へどんな影響を与えたのかに

関しても調査しています。楽しんで読んでみてくださいね!

中秋節とは何?月餅を食べる習慣がある?

中秋節とは、陰暦815日にお月見をする中国の習俗です。

日本の十五夜に近い習わしと言えるでしょう。

中秋節は、中国で大事にされている祝日であり

この日の前後1日と合わせて3日間の連休となります。


「団欒節」とも呼ばれているとおり、各地から家に帰り

家族と共に過ごす習慣で3000年以上の長きに渡って

中国で行われてきました。

中国人は家族団欒をとても重要視します。

遠方の家族も帰ってきて一緒に過ごす中秋節は

古くから特別な行事として大切にされてきました。


始まりは古代中国の月祭りとされています。

中国唐時代の書「唐書 太宗記」の中に「八月十五日、中秋節なり。」

との記述が残っていることから、唐時代には中秋節が

あったことがわかります。一般にも浸透するようになったのは

宋時代からです。

やがて春節に次ぐ二番目に伝統的祭日として

広く知られるようになりました。


空に浮かぶ丸い月は家族団欒を象徴しているとされ

月を愛でながら家族で月餅を食べることが一般的です。

「月の祭り」や「月の夕」などの別名が存在します。

中秋節になぜ月餅を食べるのか?種類とは?

月餅

月餅は月の神様にお供えする物としてその歴史をスタートさせました。

唐代には勝利を祝う食品として重宝されます。

明時代になると月餅は丸い形をしていることから

団円(円満)を象徴するとされ民間に浸透するようになります。


家族団欒を願う人々に愛された為、中秋節でお月様を見ながら

食べることが定着したと言われています。

実は月餅に似た団欒を象徴する焼きパンを作り食べるという

風習が残る地域も多いです。


長い歴史と広大な土地を有する中国で親しまれてきただけあって

月餅には様々な種類があり、現在でも新しい商品が開発されています。

特に「広式」「京式」「蘇式」「徽式」の月餅は有名で

日本でも親しまれています。

広式月餅

皮が薄く餡が多い代表的な月餅です。

広州で誕生し、中国各地で販売されています。

表面を特徴的な木型で抜き取りし焼いているので

見た目にも美しいです。


また、餡がギッシリ詰まっていることから切っても

型くずれしにくく、切り口が美しいという特徴があります。

中秋節で食べる特別な月餅には、月に見立てた鴨蛋を

餡の中央に入れる場合もあります。

京式月餅

北京、天津などが発祥とされ、主に北方で定着した月餅です。

もろく柔らかな月餅ですが餡に独特の風味があり

親しまれています。


皮と餡の比率は23くらいなので、おまんじゅう感覚で

おいしく食べることができます。

蘇式月餅

生地がパイ生地の蘇式月餅も人気が高いです

。蘇州一帯から起こったとされています。

他の月餅に比べて甘いことに特徴があります。

徽式月餅

油酥皮という皮を使う徽式月餅は

餡に野菜を使うという特徴もあります。

梅干し月餅が有名です。


近年では変わり種の月餅も登場するなど

中秋節の時期が近づくと非常に活気に富んだ

月餅商戦が繰り広げられることでも知られています。


ちなみにこの時期は月餅を贈り合う伝統もある為

食べきれないほど大量の月餅を貰うこともあるようです。

中国では、もしあまりそうなら貰ったものを

他人へ贈っても失礼なこととはされていません。

文化の違いが面白いと言えるでしょう。

意外!?中国の中秋節の月餅は輸入禁止の国が多い?

輸入禁止

中秋節に欠かせない月餅は

時期が近づくと街の至る所で販売されます。

日本のクリスマス商戦と同じく

中国人にとってはビジネスチャンスであり

この時期は商品の半分を月餅にしてしまう

パン屋さんも登場するほど盛況です。


ただし、世界34カ国では中国産の月餅が輸入禁止となっています。

日本は条件付きで輸入を認めており完全には禁止していません。

なぜ輸入禁止となっているかというと、自国の国民を

守る目的であると明かされています。


月餅は傷みやすく長期間の輸送には向きません。

また肉類や卵が使用されているものは

鳥インフルエンザなどのリスクがあることから

月餅の輸入禁止措置を取っているのです。

同じような理由で中国も他国からの月餅の輸入を制限しています。


本場・中国の月餅は他国で食べるものとは一味違いますので

月餅を食べる目的で中国を訪れるのも楽しいのかもしれません。

中秋節や月餅の伝統が各国へ与えた影響

中秋節は、中国から周辺諸国へも広まり

それぞれの国に根付きました。

ただし国が変われば変化することが自然であるように

各国によって現在の姿は異なります。

香港

香港も中秋節はありますが

チョコレート月餅やフカヒレ入り月餅が登場するなど

香港らしい変化を見せています。


また、家族で過ごすことに変わりはありませんが

家で家族と団欒を楽しんだあと高台に赴き月を

愛でるという特徴があります。

街中をランタンで飾り彩ることも盛んです。

マカオ

マカオでは中秋節の翌日が公休となります。

家族団欒を楽しむという趣向は変わりません。

香港と同じくランタンで街中を彩ることが盛況と言えます。

ちなみに花火大会も開催されます。

台湾

台湾の月餅も多種多様です。

また家族で過ごす日という認識は変わりませんが

最近では大勢で集まってBBQを楽しむ人も増えているようです。

シンガポール

シンガポールでも中秋節は大切なイベントです。

パイナップルやバナナを使ったユニークな月餅が売られており

大きさも中国のものより一回り大きいという特徴があります。

街中がイルミネーションで飾られるなど華やかな行事として

親しまれています。

ベトナム

一風変わった変化を遂げたのがベトナムです。

ベトナムにも中秋節があり家族で過ごす日ということに

変わりはありませんが、この日は子どもたちのお祭りとして

定着しています。


普段は買ってもらえないおもちゃを買ってもらえるなど

子どもにとっては待ち遠しい日になっているようです。

ベトナムの月餅も変わっており、海鮮やドリアンを使った

月餅もあります。


各国の中秋節を比べてみるのも楽しいのではないでしょうか。

中秋節月餅以外に用意するものや伝説とは?

広大な中国は、中秋節でも地域差があります。

場所や民族にとっても違いがあるので

同じ中国でも全て同じとは限りません。

こちらでは代表的なものをご紹介します。

兎児爺を用意する

うさぎの人形

兎児爺(トゥルイエ)はうさぎの神様の人形です。

頭はうさぎ、体な人身のこの人形は、華やかで愛らしい装飾のものも

多く非常に親しまれています。

もともとは月を祭る泥人形だったのですが

清時代の頃から子どものおもちゃとして定着しました。


人々は兎児爺を用意し贈り合います。

兎児爺を購入することは平安を願うこと

贈ることは幸福を届けることと言われています。

中秋節が近づくと兎児爺の生産がピークを迎えます。

提灯を鑑賞する

中秋節に灯籠会を行う地域も多いです。

夜の闇夜に浮かび上がる灯籠の灯火は老若男女問わず

多くの人の目を楽しませてくれます。


最近では中国よりも香港の提灯やカラフルなランタンが

有名であり、世界的に報道されることもあります。

恋人たちのデートイベントとしても定着している

ロマンチックな慣習です。

伝説を振り返る

中国にも様々な月にまつわる伝説がありますが

その中でも特に有名なのが「嫦娥(ジョウガ)、月に奔る」です。

中秋節の時期になると、この伝説を思いだす人も

多いとされています。物語を見てみましょう。


遠い遠い昔、太陽がいっぺんに10個も登るようになり

地上は灼熱地獄と化しました。

この時、弓の名手である后羿(コウゲイ)が立ち上がり

太陽を9つ撃ち落として人々を救います。


后羿は英雄になり、綺麗で優しい嫦娥をお嫁さんとして

仲睦まじく暮らしていました。

彼に憧れて弟子を志願するものもたくさんやってきました。

その中には悪い蓬蒙(ホウモウ)もいたのです。


ある日、后羿は崑崙(こんろん)山で西王母(せいおうぼ)と出会い

不老不死の薬をもらいました。

この薬を飲めば地上を離れ神になることができると言うのです。


しかし后羿は嫦娥と離れ離れになりたくなかったので

嫦娥に薬を預かっておいてくれるように頼みました。

ただこの時、蓬蒙もその場面を見ていたのです。


数日後、后羿の留守中に蓬蒙が押し入り

嫦娥に不老不死の薬を差し出せと脅しました。

嫦娥は力では蓬蒙に敵わなかったので

薬を守る為に自分でその薬を飲みました。

すると、たちまち嫦娥の体は天へと登り

人間に最も近い月に住むようになったのです。


帰ってきた后羿は侍女から事の顛末を聞いて嘆き悲しみました。

愛しい妻の名を呼びながら月を見上げると

月に映る人影が嫦娥に似ています。

后羿は嫦娥を思い、月を祭るようになったのです。

人々も月にいる嫦娥に平安を願うようになり

以来、中秋節に月を祭る伝統が生まれました。


嫦娥の伝説に思いを馳せると、中秋節がより味わい深く感じられますね。

中秋節の月餅は日本でも食べられる?

月餅

今では1年中食べられる月餅ですが

もともとは中秋節の時期にした食べられない貴重なお菓子でした。

本場中国の月餅は日本に輸入されることに条件がついていますが

横浜中華街に行くと、中秋節ならではの月餅を味わうことができます。

横浜中華街ではこの時期しか売られていない月餅も販売されており

日本にいながら本場の気分を味わうことが可能です。

まとめ

日本のお月見とは一味違った中国の中秋節

月餅とともに家族で味わってみるのも楽しいでしょう。

古の歴史に思いを馳せながら、受け継ぎたい伝統ですね。

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