彼岸の入りと彼岸明け

春と秋にはお彼岸がやってきます。

彼岸の入り彼岸明けという言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。

具体的には何をするのか、時期や春と秋のそれぞれの特徴をまとめてみました。

これを読めばお彼岸がいつ来ても大丈夫です。

子ども達に聞かれた時にも正しい知識を教えることが出来ますよ。

彼岸の入り彼岸明けとは?時期はいつ?

お彼岸が始まることを「彼岸入り/彼岸の入り

そして終わることを「彼岸明け/彼岸の明け」と言います。

春彼岸の中日は春分の日、秋彼岸の中日は秋分の日です。

お彼岸の期間は合計7日間であり、春分の日と秋分の日を含めた前後3日間を指します。


春分の日と秋分の日は、それぞれ国立天文台が発表する

その年の「暦要項」によって定められており、毎年同じ日とは限りません。

春分の日は320日頃、秋分の日は923日頃になります。

今年はどの日が該当するのか把握しておくことが肝心です。


ちなみに2017年は、以下の通りです。

春彼岸

彼岸入り:317

お中日 :320日(春分の日)

彼岸明け:323

秋彼岸

彼岸入り:920

お中日 :923日(秋分の日)

彼岸明け:926

彼岸の入り彼岸明けを把握したら春と秋のそれぞれの特徴を知ろう!

秋と春

同じお彼岸の中日でも春分の日と秋分の日では意味が違います。

春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」という意味があり

秋分の日には「祖先を敬い、亡くなった人をしのぶ日」という意味があります。


自然に感謝する価値観と、先祖崇拝の考え方が反映されていると言えるでしょう。

ちなみに、お彼岸は日本独特の文化であり、仏教国で同じような習慣がある国はありません。

春分の日と秋分の日の意味は違いますが、基本的に行うことは同じです。

仏壇や仏具、お墓を丁寧に清掃し、お墓参りにいきます。


彼岸は、仏教用語で「到彼岸」の略です。

サンスクリット語の「パラミータ」すなわち「波羅密多」に由来すると考えられています。

これは、煩悩や迷いに満ちがこの世である此岸にいる者が、「六波羅蜜」の修行を通して

悟りが開けたあちらの世界である彼岸に到達するができるというものです。


春分と秋分では、昼の時間と夜の時間がほぼ同じであり、太陽が真東から昇り真西に沈みます。

このことから、彼岸に通じやすくなると考えられてきたことが、この時期にお彼岸がある理由です。

彼岸に通じやすいということは、故人と通じやすくなると古代の日本人は考えました。

そして、現在のお彼岸のようにお墓参りをする風習ができたと言われています。


お彼岸を広めたのは聖徳太子ではないかという説があります。

「今昔物語」の中にある「聖徳太子、天王寺を建てる語」に

現在のお彼岸に通じるような逸話が残されているのです。

現在残っている文献の中で、彼岸という言葉が初めて登場するのは

平安時代中期の「宇津保物語」や「蜻蛉日記」からです。


もしかすると今日とは呼び方が違うのかもしれませんが、仏教を広めた聖徳太子が

お彼岸という慣習を日本に広めたと考えても不思議はないでしょう。


日本には数々の独自の文化がありますが、お彼岸もその一つです。

飛鳥時代の聖徳太子の頃からの風習が今も残っていることには不思議な気持ちが湧き上がりますね。

彼岸の入り彼岸明けで具体的に行うこととは?

仏壇

彼岸の入りには、まず仏壇や仏具を清掃します。

そしてお供え物のおはぎ(春はぼたもち、秋はおはぎと言う)を用意し

お墓に飾る花も揃えます。

さらにお彼岸期間中にお墓参りに赴き、お墓を念入りに綺麗にして

お墓に手を合わせるということが基本的な事項です。


ところで、仏壇や仏具はどのように清掃していますか?

意外と、どのように行えばよいかわからないという方は多いです。

ここでは基本的なやり方をご紹介します。


まず、仏壇を掃除する日は天気の良い日を選ぶことが大切です。

雨の日に掃除をするとカビの原因になる可能性が高いですので、晴れた日を選びましょう。

そしてご本尊様とご先祖様に「本日仏壇をお掃除させていただきます」とお断りをします。

お坊さんなどを呼ぶ必要はありませんが、仏様を祀る台であるお仏壇から出して

掃除をさせていただくので、お線香をあげて手を合わせましょう。


いよいよ掃除開始のその前に、写真を1枚撮っておくことをオススメします。

配置がわからなくなってしまうことが多いからです。

現代はスマホやデジカメがありますので、最後に戻す時の参考にする為に写真用意しておきます。

もちろん紙などに配置を書いておく方法でも問題ありません。


仏壇を清掃する段階では、最初に仏具を全て取り出します。

そして、上から下にホコリを落とすようにハタキなどを使って掃除をしていきましょう。

基本的に、仏壇掃除に水拭きは厳禁です。

仏壇掃除用の筆や破れたストッキングなどを活用してホコリを払っていきます。

細かい細工の部分は綿棒を使用すると綺麗になりやすいです。


金仏壇の場合は、金色の部分に絶対に触れてはいけません。これは破損などの原因になります。

もし壊してしまうと多額の修繕費が必要になってきますので

清掃の際には細心の注意を払うことをオススメします。

清掃していると、仏壇が細かい職人技を駆使して作られていることがよくわかります。

日頃の感謝の意味も込めて入念に掃除してあげると良いでしょう。


掃除が終了したら、仏具を元の位置に戻し、再び線香をあげて新しいお花を飾り

ご本尊とご先祖様に「掃除が終わりました」と報告をします。

ピカピカに清掃したことがわかれば、きっと喜んでくれることでしょう。


やってみるとわかりますが、仏壇の掃除は結構大掛かりです。

1日で済ませようと思わず、できるところから少しづつ行っていくことをオススメします。

また、忙しくて業者に頼みたいという場合は、一般的な清掃業者ではなく

仏壇仏具店に相談すると良いでしょう。


一般的な清掃サービスでは仏壇は範囲外であることが多いです。

仏壇仏具店は仏壇のプロですので、清掃を請け負っている場合が多いと言えます。

お近くのお店に相談してみてはいかがでしょうか。


お墓参りはお彼岸期間中のいつ行って構いません。

午前中に行く人が多いとされています。ま

た回数の上限があるわけではありませんが、基本的には1回だけ行くようにすることが一般的です。

彼岸の入り前に行いたいお墓の清掃方法!彼岸明けにもお墓参りはOK

墓掃除

お彼岸期間中にはお墓参りに行きますが、できればお彼岸入りの前にお墓の清掃を

済ませておくことがオススメです。

縁がある人がお墓を訪れた際に気持ちよくお墓参りを行うことができます。


お墓を清掃する時は墓石の種類に気をつけましょう。

物によって避けたほうがよい洗剤などがあります。

また、タワシなどでゴシゴシ擦るやり方は、墓石を痛めてしまうのでオススメできません。

基本的には水だけで洗うように意識しましょう。

最近では水だけで十分綺麗になるスポンジなどが販売されていますので、活用することを推奨します。

細かい場所には歯ブラシを活用することもオススメです。


基本的には墓石を中心に水、スポンジ、刷毛などを使って綺麗に洗った後、タオルで拭きます。

敷地全体を綺麗にすることもポイントです。草取り以外に

ザルですくって玉砂利も洗うようにしましょう。見違えるほど綺麗になります。


お彼岸期間中が忙しく、どうしてもお墓参りに行けなかったという方もいるでしょう。

その場合は、お彼岸明けなどの行ける日にお墓参りする方法でも問題ありません。

大切なのは形式よりも気持ちです。

お彼岸期間中に行けなくても、先祖を思い出すなど自分の出来る範囲で行えることをしましょう。

また、お彼岸にこだわらなくても、お墓参りは1年中いつ行っても良いとされています。

焦らず、仕事が休みの日などに行くようにするだけで大丈夫です。


最近ではお墓参り代行サービスというものも登場しています。

これは遠方であったりご高齢でお墓に行けない人が、代わりにお墓参りをしてもらうサービスです。

どうしても行けない時などに利用することも有効なのかもしれません。

大切なお墓のことですので、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

最新のお墓事情における彼岸の入り彼岸明けについて

お墓参り

日本人はお墓参りに行くのが好きな民族です。

お彼岸やお盆、命日など何かというとお墓に出かけ故人やご先祖様に手を合わせます。

ところが、少子高齢化が進んだ現代では、遺された人たちの負担になりたくないと

あえてお墓を作らないという選択をする人も一定数存在し始めています。


お墓を作らない場合は、散骨やゼロ葬などの埋葬方法を選びます。

散骨は文字通り許可をとって骨を撒く方法、ゼロ葬は火葬した遺骨を引き取らず

その時点で終わりにする方法です。


後者のゼロ葬に関しては、新しい考え方であることもあり、細かい点で様々な方法が新しく誕生しています。

どちらもお墓を作らないという特徴があります。


お墓がないので、当然お墓参りをする必要はありません。

お仏壇もないので彼岸の入り彼岸明けに特別に何かする必要はなくなります。

故人の希望であり、自然に還る方法を選んだり、あえて墓守することがないように

配慮する考え方は賛否両論ありますが、受け入れられている傾向があると言えるでしょう。


ただ、いざという時に手を合わせる場所がないという事実に戸惑いを覚える人もいるようです。

もしかしたら今後は主流になるかもしれませんが、よく考えて選択する必要がある考え方なのかもしれません。

まとめ

日本独特の行事であるお彼岸も、時代とともに変化を見せてきています。

古く飛鳥時代から続いている風習を残していく気持ちも大切なのかもしれません。

形式ではなく、気持ちを継いでいきたいですね。

次世代に伝える為にも、お彼岸について学んでおくことが重要と言えるでしょう。

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