妖艶で不思議な趣がある彼岸花は、古くから日本の地に根を
下ろしていました。
不吉なイメージを持たれることも多いですが
近年では、その独特の艶やかな美しさから評価が
見直されてきています。
彼岸花と言えば真っ赤な花が印象的ですが、実は黄色、白など
たくさんの色合いの品種があることでも有名です。
今回は、色別に花言葉をまとめてみました。
また、育成方法に関しても解説してあります。
彼岸花はたくさんの色がある?花言葉も違う?
欧州で園芸用の花として人気がある彼岸花は、品種改良によって
たくさんの種類が誕生しています。
正式な学名はリコリス(Lycoris)であり、神秘的な姿が多くの人の
心を掴んでいるようです。
色合いも様々であり、よく知られている赤色から、白、黄色など
色とりどりと言えます。
花言葉は、もともと17世紀頃のトルコで、花に恋人への想いを
託して贈る風習から生まれたものです。
その後ヨーロッパに広がり、日本でも明治時代にその考え方が
輸入されました。
花言葉は国や時代、宗教によっても変化しているものであり
同じ花でも複数存在することもあります。
日本でも入ってきた当初から変化し、だんだん日本特有の花言葉が
増えてきた歴史があるようです。
彼岸花の花言葉は、色合い毎に異なるとされていますが
中には共通して花言葉として知られているものもあります。
彼岸花に共通している花言葉
花の色に関係なく共通している花言葉は「再会」です。
他にも「悲しい思い出」や「諦め」という意味合いもあり
どことなく物悲しい雰囲気が感じられます。
「再会」に関しては、悪いとは言えませんが死者と墓前で
再会するという意味にも捉えられることから
贈る際には細心の注意が必要です。
彼岸花は近年園芸用として見直されてきているとは言え
日本では長い間不吉なイメージを持たれていました。
プレゼントして贈ることはあまり推奨できないかもしれません。
また、もし知らないで贈ってしまったとしても
相手は花言葉に詳しく意味深に感じるかもしれませんので
花屋さんなどで相談してから決めたほうが良いでしょう。
赤い彼岸花の花言葉
多種多様な彼岸花の中でももっとも印象深いのが
「赤い彼岸花」でしょう。
鮮やかで艶やかな赤い色合いは、独特の雰囲気を醸し出しています。
花言葉は「情熱」と「独立」です。
意外なことに、前向きで力強い意味合いが込められているようです。
赤い彼岸花は毒々しいまでの美しさがあります。
その姿から「彼岸花」というどこかこの世のものでないような
名前が付けられていますが、同時に「曼珠沙華」というおめでたい
名前も併せ持っているのです。
赤い彼岸花が、希望が感じられる前向きな花言葉を持っているのは
彼岸花の持つ2つの側面を象徴しているのかもしれません。
赤い彼岸花鑑賞用として有名なスポットも持っています。
埼玉県日高市の巾着田は、日本最大級の彼岸花の群生地として
知られており、毎年多くの人が幻想的な光景を求めて
足を運んでいます。
花言葉を思い返しながら見ると、むしろ元気がもらえるかも
しれませんね。
黄色い彼岸花の花言葉
黄色い彼岸花の花言葉は
「追走」「深い思いやり」「元気な心」「陽気」です。
随分イメージが違うなと思われて方もいるでしょう。
実は、黄色い彼岸花は厳密には彼岸花ではありません。
9月9日の誕生花として知られているショウキズイセン(鐘馗水仙)
のことを指します。
実際に花を見てみるとわかりやすいように、形がよく似ています。
正しくはヒガンバナ科ヒガンバナ属の別種です。
古代エジプトでは薬用ハーブとしてショウキズイセンの根が
使われたという記録もあります。
ショウキズイセンは別の花として、明るく思いやり深い花言葉を
持っていると言えるでしょう。
白い彼岸花の花言葉
赤い彼岸花の中に真っ白な彼岸花が咲いている不思議な光景を
見たことはありませんか?
白い彼岸花と呼ばれるシロマンジュシャゲには
「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」という
花言葉があります。
シロマンジュシャゲは一説によるとショウキズイセンと
彼岸花の雑種ではないかとも言われているそうです。
これまで見てきた花言葉とは違う、しっとりとした印象がある
花言葉を持っています。
なんだか恋人に贈りたくなってしまいそうですが、もともとは
死者へ向けた言葉と言われているので注意しましょう。
確かに、死者に対しての言葉として読んでも違和感がありません。
死を前向きに捉え、一歩前に進む勇気をもらえるような
花言葉です。
ただし、意味を誤解して恋人に贈るのはオススメできません。
本来の意味がわかった時に気まずくなります。
彼岸花の花言葉を知った上で育てたくなったら?
彼岸花の花言葉を理解した上で、自分好みの花を育ててみたいと
思う方もいることでしょう。
彼岸花は、数年植えっぱなしでもしっかり花を咲かせてくれる
初心者にも育てやすい花です。
種類が多いので、自分が育てたい品種の育て方をよく
確認しておきましょう。球根が市販されています。
一般的には7~8月に鉢植えか庭植えを行います。
基本的に地植えでしたら、植えるだけで育ちます。
ただし、田んぼの畦道に群生しているように、水はけのよい
やや湿り気を帯びた土を好みますので
定期的に水やりしてあげると綺麗に育ちやすいです。
彼岸花を育てる時に気をつけておきたいのは
最初に葉っぱが出て、次に花が咲く点です。
彼岸花は、冬に葉を茂らせ、春に光合成をして、夏に枯れて
秋に開花するという独特のサイクルで育ちます。
夏に枯れてしまった時に「上手く育たなかった……」
と悲しむ必要はありません。
むしろ何もないと思っていた場所から一気に花が咲くので
ビックリされる方も多いです。
また花が咲き枯れた後しばらく動きがないので
「もう咲かないのでは?」と思うかもしれませんが
春が近づけば再び葉っぱがでてきます。
焦って掘り返さないことがポイントです。
最初にこのサイクルを理解しておきましょう。
基本的に病気にも寒さにも強いので、よほど寒い土地でない
限り手がかからないです。
花が枯れたら切り落としておくと、余計な栄養をとられずに
済みます。
球根を購入する時はなるべく大きくて固いものを選ぶと
失敗が少ないです。
あまり難しく考えず、まずは気に入ったものを
育ててみましょう。
1回育てるとコツが掴め、初心者に育てやすい花であることを
深く理解できます。
欧米では人気が高いので販売数も多いです。
形や色も豊富ですので、好きなものを見つけやすいでしょう。
中には、見知った彼岸花とは見た目が違うものもあり
彼岸花に良い印象を持っていない人がいる場合でも
人目を気にせず育てることができます。
彼岸花は花言葉の他に迷信もある!
彼岸花は花言葉よりも迷信が有名かもしれません。
代表的なものとして以下があります。
・彼岸花を持ち帰ると家が火事になる ・彼岸花を摘むと手が腐る ・彼岸花を摘むと死人が出る |
などがあげられます。
一番良く聞かれるのは「火事になる」という迷信でしょう。
子どもの頃におじいちゃんやおばあちゃんから忠告を受けた方も
多かったのでないでしょうか。
これは、彼岸花の赤い花が火事を連想させたと言われています。
また、他の2つと合わせて、彼岸花に毒があることから
子どもが花を誤って摘んでしまったり、近づくことがないようにと
このような迷信が生まれたと伝えられています。
土葬の時代は、彼岸花の球根にある毒性で大切な遺体を害虫から
守る為に、墓地によく植えられている花でした。
その為、縁起の悪い場所から花を摘まないようにと配慮する気持ちが
込められていたとも言われています。
本当に火事になったり、死人が出たり、手が腐るわけではありませんが
このような迷信が生まれた背景にはそれなりの理由があったのかもしれません。
彼岸花は花言葉よりも別名が凄い!
彼岸花には、数千個以上の別名が存在します。
これは、日本全国で咲いていることや、他にはない独特の姿形に
妖しいまでの魅力があって人々の心を深く捉えたことが
影響しているようです。
全ては紹介しきれませんが、代表的なものを見ていきましょう。
●おめでたい「曼珠沙華」
サンスクリット語で天界に咲く花の意味がある「曼珠沙華」も
彼岸花の別名です。
不吉なイメージを持ちがちですが、実はこのようなおめでたい
意味の名前ももっています。
ちなみにこの名前は、良い出来事の前兆として天から赤い花が
降ってくる、という仏教の経典の話から名付けられていると
されています。
●咲く場所に由来する「死人花」「地獄花」「幽霊花」
土葬の時代、彼岸花は死体をモグラなどの害虫から守る目的で
墓地に植えられていました。
墓地に真っ赤な彼岸花が咲いている光景は、妖しい魅力が
あったことでしょう。
そのことから、「死人花」「地獄花」「幽霊花」という
少々不気味な名前が付けられています。
●毒があることから「痺れ花」「毒花」
彼岸花には毒があります。
口に含まなければ問題ありませんが、昔の人はその毒性に
由来する「痺れ花」や「毒花」という名前も付けました。
前述の「死人花」などの名称と合わせると
怖い花という印象が増します。
●特徴的な形から「天蓋花」「狐の松明」
こちらは特徴的な花の形から名付けられた別名です。
「天蓋花」も「狐の松明」もどこか童話のような
ファンタジックな魅力があります。
一度見たら忘れられないような彼岸花の独特の花の形が
人々の想像力も刺激したと言えるでしょう。
●咲き方から「葉見ず花見ず」
彼岸花は、花が咲き枯れた後に葉が茂ります。
その為「葉見ず花見ず」という別名があります。
花の時期には葉がない、葉の時期には花がない
なんとも不思議な植物です。
まとめ
感じていたようです。
多くの別名や花言葉があることは、裏返せばそれだけ
人の関心を集めてきたと言えます。
これからは彼岸花に対して別の見かたもできそうですね。
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